通わないミュオタの限界記憶備忘録

ミュオタ歴は長いながらも公演に何度も通わないほぼお茶の間ファンであるするめが、それでもそのたった1回の観劇体験を忘れないためにつける備忘録

WEST SIDE STORY Season1 2020/01/12/Sun. マチネ

IHIステージアラウンド東京

 

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 噂には聞いていたぐるぐる、初体験でした。「いやいや客席じゃなくて盆を回せばええやないかーい!」みたいな感想を抱くと思いきや、客席が回るのを意外と楽しんでしまった。でもイコール劇場の良さにつながるのかっていうとそうではなくて、トイレの動線は半端なく悪いし、劇場内もなんか知らんが簡素過ぎてびっくりしちゃったし(梅芸のゴー☆ジャスな内装に慣れてしまった女)、なんか座席めっちゃ狭い気がするし。客席が回るのはちょっと楽しかったけど、なぜ盆じゃなくて客席を回すことになったのか知りたい。電気代とかお金かかりそうよね。

 

 

<概要>

舞台は、1950年代後半のニューヨーク、マンハッタンのウエストサイド。セントラルパークを挟んで、イーストサイドが高級住宅街で、ウエストサイドには多くの移民が住んでいた時代の物語。
この頃のニューヨークは、世界中から多くの移民が夢と富を求めて集まってきた時代だった。彼らはそれぞれギャング集団を作り、お互いに敵対し合う。しかし、ポーランド系移民のトニーと、プエルトリコ系移民のマリアは偶然出会い、激しい恋に落ちてしまう。禁断の愛は多くの人を巻き込み、悲劇の連鎖を生む…。

シェイクスピアの悲劇「ロミオとジュリエット」に着想を得た作品。偏見、暴力の世界で生き抜いていくために恋にもがく作品であると、この作品の脚本家、アーサー・ローレンツは言う。(公式サイトhttps://www.tbs.co.jp/stagearound/wss360_1/about/

 

 

 

 泣く子も黙るバーンスタインの往年の名作がSeason1~3まで、キャストを変えてじっくり楽しめる仕様で上演されます。私はマリアのWキャスト、笹本玲奈さんが大好きなので彼女をお目当てにSeason1を観に行きました。このご時世にこの古き名作が公演として打たれた理由は何となく察することはできますが、ミュージカル畑の外から人気者をよっこいしょと引っ張って来なければいけなかった理由はいまいち分からない。恐らく版権を借りるのに莫大なお金はかかっているでしょうし、だからこそ長期間の公演で利益を取って、なおかつ人気者を連れてきて(言い方は悪いですが客寄せパンダとして)キャスティングしたっていう行動原理は理解できるんですけど。ウエストサイドストーリーである必要ありますか?往年の名作にはガッツリ作品ファンが付いてるんだから、キャスティングで冒険しない方が絶対よかったのにな~と思っちゃう。人種、偏見、暴力は確かに現在でも取りざたされている問題ではありますが、ウエストサイドストーリーじゃなくても、ほかにも作品はあるし、無理して版権借りてキャスティングは冒険って、誰得なん?音楽は勿論いいし、胸に迫るストーリー展開ではあるけど、たぶんあまりミュージカルに触れたことがない客層からしたら、かなり古めかしい作品じゃないかな~。名作ではあるけど、ビギナー向けではない気がする。

 

と、キャスティング批判みたいなことをしてしまいましたが(いつもしてるでしょ)、私が観た回のキャストさんは皆さん素晴らしかったです!

 

 

 

*トニー/蒼井翔太さん

 ミュージカル「王家の紋章」にて宮野真守さんを拝見していて、彼の歌唱力には安心感を持っていたので本当はマモトニーで観たかったのですが日程の関係で蒼井トニーに。宮野さんを拝見した時も思ったのですが、声だけで感情を表現することができる声優さんって、実はとても舞台向きなのでは?これすでに皆さんご周知の常識だったりするのかな?劇場ってどうしても顔が見えない席がほとんどで、その状況でどのように客席全体に伝えられるのかって役者の皆さんにとって課題の1つだと思うんですけど、その点蒼井さんは声だけでも演技が完成されてました。顔が見えなくてもどんな顔で、どんな気持ちなのか手に取るように分かるの、良いですよね。

 歌は音程がとても安定していて安心感あり。低音はポップスの歌い方なのに、高音で急にミュージカル発声になっていい意味でびっくりしました。悪く言えば歌い方にムラがあるんですけど、決めるときに絶対決められる安心感がありました。トニーの高音も絶対外さなかったし。

 歌も良かったのですが、私が蒼井トニーで1番好きだったのが、物語の終盤、怒り狂ってチノを探し回るところ。先ほど声優さんならではの声の演技について述べましたが、動作としてはただ歩き回ってチノを探すだけ。そのなかでどれくらいの怒りとか憎しみとかを込められるのかってとても難しそうなのですが、蒼井トニーからは見てて苦しくなるくらい彼の混乱した心のうちが伝わってきました。ミュージカル「デスノート」の初演で、浦井健治さん演じる月の「死にたくない!」ともがき続ける演技を見て驚愕した時のことを思い出しました。蒼井さんの月もめっちゃ見たい!ああいう、見ているこっちが舞台上に引きずり込まれそうになる狂いっぷりは何度でも見たい。そういえば、Wキャストの宮野さんはアニメ版の月だし、ミュージカル版の月・浦井健治氏と柿澤勇人氏はSeason3のトニーじゃんね。わろた!

 蒼井さんの回だから、劇場のほとんどが蒼井さんのファンだったりして!と思ってたら、周りの女性の会話がほぼ皆「しょーたんは~」「しょーたんが~」だったので、いや人気すご!となってしまった。

 

*マリア/笹本玲奈さん

 「ジキル&ハイド」で娼婦を、「マリー・アントワネット」で王妃を演じたと思ったら、なんと次は往年の名作のヒロインですよ。振り幅よ。正直情報解禁当初は、うーんすごいけどアニータが見たかったかなあ~とか思っていましたが、彼女がマリアを演じる理由には彼女のお父様のことがあったらしく。(笹本玲奈さんインスタグラムhttps://www.instagram.com/p/B6umXGxFSfT/?utm_source=ig_web_copy_link)役選びに慎重なところは彼女の好きなところの1つです。

 結婚を経て現在は1児の母である玲奈ちゃんがうら若いヒロインを演じるには、正直年齢差がありすぎるのでは?的な不安はすぐに打ち消されました。なんて幼くて可愛らしいマリア!歌唱発表のときには、マリアにしてはソプラノに深みがあるかな~うまいけど、と思っていたのですが、まるっきり変わって少女のソプラノに、柔らかく響く高音になっていました。推しがすごくてごはんもうまいわ。マリア、想像以上に高音ゾーンがいっぱいあって、「ウエーン玲奈ちゃん大丈夫かな!!!」(自慢の推しを心配すな信頼しろ)みたいなハチャメチャ感情を抱きそうになったりもしましたがすべて杞憂に終わり、普通に歌がうまいかわいいマリアでした。あーん大好き。「アイ・フィール・プリティ」、やばやばのやばだったじゃないです???あかん工藤、語彙力が消滅してまう!

 マリアの醍醐味(?)と言えばラストのシーンですが、さすがは拳銃を持った回数ならミュ界でもトップを争えるであろう(ほんまに?)玲奈ちゃん。悲しみの歌唱(ちょっぴりジキハイのエマを思い出して、ぴえん、となった)、トニーへ向ける慈愛の笑み、そして周りの人間に向ける鋭い悲しみと怒り、観客にまで銃口を向けられていたよう。自分のシーンでしっかり劇場全体を支配できる力があるの、ほんとに頼もしいな~!ラブ!あと作品全体を通して、トニーとの恋模様に無茶があるというか、突っ込みどころが多いのはもはやしゃあないのですが、若気の至り感がすごくて最大限の説得力を持たせられていたのも良かったと思います。ミュージカルあるあるの、何考えてるか全然わからん系ヒロインじゃないの、すごく大事。玲奈ちゃんありがとう。

 ところで玲奈ちゃんの次の次の作品は何かな😊❓(突然の玲奈ちゃんおじさん)あと、2020年AMPHI・BRAGENIC アンバサダー決定おめでとうございます!

www.wacoal.jp

*アニータ/三森すずこさん

 みもりんアニータ良すぎてラブライブ始めるまである(始めてはない)、ってくらいスーパー超絶良かったです。声優さんとして名前だけは知っていたのですが、以前別名義で玲奈ちゃんとミュージカルで2度共演(「ミー・アンド・マイガール」、「ルドルフ ザ・ラスト・キス」)されてたとか!しかもルドルフの方は姉妹役…なんたるムネアツ再共演!実をいうと、アニータに関しても本当はウタウマ保証のある元劇団四季俳優・樋口さんのアニータが観たかったのですが、みもりん良すぎたな。

 私の性癖の話になるのですが、私的には、ウエストサイドストーリーではいかにマリアとアニータが仲良しこよしかによって萌えが変わります(恥)。笹本・三森コンビはまあ~本当に仲が良くて。アニータは、彼氏の妹だから面倒を見てあげてるんじゃ無くてマリアが可愛くて堪らなくて一緒に居るって感じだし、マリアは、きれいで面倒見のいい大好きなおねえちゃんとしてただひたすらにアニータを慕っている感じが伝わってきて、大変ニコニコしながら冒頭のシーンを拝見しました😊彼女たちの絆が深ければ深い分、「あんな男に」のシーンの辛さと感動が増すと感じています。

 アニータと言えば「アメリカ」!歌もダンスもキュートに色っぽくて最高でした!特にダンス!一緒に踊る激ウマダンサーさんたちにも見劣りせず完璧でした。そして作品最大の鬱シーンがアニータのドクの店でのシーンですが…。まじつれぇ。アニータが優しく魅力的で寛容であればあるほど辛いあのシーン。みもりんアニータは優しくて物わかりのいい素敵アニータだったので辛さマシマシ。

 とにかく、俳優さんとしてみもりんが大好きになりました!かわいいし、ダンスもうまい!そしてあの鍛えられたお背中!忘れん!!!

 

*リフ/上山竜治さん

 レミゼラブルのアンジョルラス以来のお久しぶり上山氏でした。久しぶりに見て改めて顔かっこいいな!とドキドキしてしまった。デヘヘ!!!

 リフは登場が革ジャン+タバコなのがいいですよね。彼の歌唱が大好きなのでもっと聞きたかったな~と思いつつ、あんなに踊る上山氏を見たのは初めてでレア体験。

 実は、小野田リフ、中河内ベルナルドは「クソ分かる!!!」だけど、上山水田は逆じゃね?ってずっと思ってたんですよ。でもね、逆じゃなかった。正直上山氏はベルナルドも似合いそうなんだけど、舞台に立つともうリフですよね。リフはアクションも結構あったかな?で、良い役なんだろうけど、キャラクターとしてのリフの良さがイマイチわからなくて全然見れてない…上山氏のことは好きだけれども。また別の舞台でも拝見したいです。

 

*ベルナルド/水田航生さん

 若手俳優生きるか死ぬかデスマッチが過熱するこのご時世でしぶとく生き残る、実はすごい男こと、水田(愛ゆえの敬称略)。割とベルナルドガチ恋女なので、正直メロメロです。本当は、見るからにベルナルドなガウチさんで見たいな~てか水田はリフじゃね!?って思ってたんですけど。水田ベルナルドかっこよすぎて登場即陥落しました。これが即オチ2コマか~。

  アーティーサンセット大通り以来、つまり、主人公の親友だけどぽやっとしてたらその主人公に彼女寝取られちゃった☆的なかわいそうすぎる男の役以来だったので、ギャップで目が焼かれた。アイヤー。サンセットではダンスシーンはほぼ皆無だったので分かりませんでしたが(とは言えトークショーでめぐ&壮麻に押されてのむちゃぶりダンスは見たことある)、めちゃめちゃダンスうまいや~ん♡しなやかで、でもキレてて、足もあんな上がるのね、みじゅた…!という気持ち。踊れる人が踊る役で輝いてるの、本当に最高~!!!もう劇中全力でマリアとアニータになりたかったもんな。私もおニューのドレスでベルナルドに抱き上げられて「きれいだ」って微笑まれたいし、ドレスの丈について過保護に突っ込まれたいし、ドレスのチャック上げてもらいたいし(このシーンは幻覚な気がしている)、ダンスのパートナーとして選ばれたいし、いかなる時も肩抱かれたいじゃん!?夢女発動すな。

 

*アンサンブルさん

 んま~田中里佳さんのロザリアがウタウマ過ぎて良かったね!あのハリのある声とつるっと出る高音と声の響き~!

 チノは映画のイメージではもっともさっとしてて、いかにも冴えないもてなさそうなイメージだったのに、高原紳輔さんが演じてしまうことで普通にかっこいいチノになってしまい……マリア、チノでええやん…となってしまうという…。

 リフの彼女・グラッツィエーラ(ですよね?)の酒井比那さんの、ダンスは勿論、あの美しい背中とくびれが忘れられない…神スタイルや~!

 ジェッツの男たちは本当に楽しそうでしたね。個性豊かで、歌もダンスも山盛りでほぼプリンシパルやん!めちゃ気になったのですが、バイクに乗ってる役者さんは本当にバイク免許持ってる人だけなんですかね?エニィバディズの伊藤かの子さんの天使の歌声、ウィーン少年合唱団!?ってなったよね、天国で聞く歌声やん。

 体育館のシーンは、あれでいいんですか!?めっちゃスベってたけど…毎回あんなかんじなのかな、強心臓やん。(ただの悪口になってしまった)

 

 

 

(以下、ネタバレなような、ネタバレじゃないような↓)

 

 と、薄いものを引き延ばしたような感想になってしまいましたが、キャストの皆さんは本当に大満足でした。ずっこけそうになる瞬間がない!

 Twitterでも少し話題になってましたが、映画版とは少しラストが違いますよね。あの演出変更の意図って何なんでしょう?私は割と、地獄に突き落とされる絶望系フィナーレ(例:ミス・サイゴン、ジキハイなど)が大好物なのであれはあれでいいと思うんですけど。でも演劇って何かしら伝えたいメッセージがあって上演されるはずだから、少しでもトニーやマリアやドクが望んだ世界への小さな第一歩が垣間見えることを示したかったのなら、あの演出変更は謎かな、と思ってしまいました。あの最後の年号も、情弱マンは説明が無いと何を示されているのかわからないよ~う😢

 そして改めて、音楽が素晴らしいなと。どうあがいても「トゥナイト」は色あせないデュエットの名曲だし、「トゥナイト(四重奏)」は入りから展開からラストまでバチバチに好みで聞いてるだけでワクワクできる。「ジェッツ・ソング」も「アメリカ」も聞くだけで頭の中で場面がぐわっとよみがえって、心を沸き立たせられます。

 名作であることは確かなので、どうにか現代でも通じる、初見でも分かりやすく根幹のメッセージを受け取れるような演出ができればいいけど、難しいですよね~。事前学習はすればするほど理解が深まって楽しめるけど、それなしでも楽しめるくらい敷居下げた作品にするのも大事じゃないかな~と思ったりもする。